「シンガポール航空で国際線CAとして活躍した6年間」川内 麻由美さん

アルムナイスポットライトと題して、社会で活躍するOBOGの皆さんのビジネスキャリアに迫るという企画です。

第一回目は、2005年に関西外国語大学を卒業され、シンガポール航空の国際線CA(客室乗務員)として、6年に渡って海外で活躍された川内 麻由美さんです。アラモードには、2001年〜2005年に在籍した第15代目の部員です。

 

川内さんが在籍されたシンガポール航空は、世界中の航空会社の中でも、最高のサービスを誇り機内システムの質の高さで幾つもの国際的な賞を受賞しています。そのホスピタリティやサービスの質は業界の中でも群を抜いており、‘World’s Best Cabin Crew Service’ by the Business Traveller Asia-Pacific Awardsを17年連続受賞、総合満足度ランキングでは4年連続で堂々の1位に輝くトップエアラインです。

 

また、業界の中でも、CA職としては最も採用されるのが難しいと言われている超人気企業です。そんな人気エアラインのCAとして6年間活躍された川内さんのビジネスキャリアに迫ります。

 

1. CAを目指したきっかけと夢を実現する為の準備

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——川内さんは、いつ頃からCA(客室乗務員)に憧れていたんですか?

川内さん「物心ついた頃から、将来の夢は、CAになることでした。九州の祖父母の家に行くのに飛行機使っていて、機内で母がCAの方を見て、”あんな素敵な女性になってね”。と言われたのがきっかけでしたね。」

 

——では、CAを意識して関西外大に?

川内さん「そうですね。でも、中学校を選ぶ時点で既に意識はしてました。

CA受験には大学進学が不可欠だったので、中高は大学進学まで一環だった、松蔭を選びました。制服がかわいかったからという理由もあります。(笑)大学は、女子校から抜け出したいという不純な動機と、英語を専門で学びたくて外大を選びました。」

 

——現在、関西外大はCA輩出率が1番の実績ですが、当時から手厚いサポートなどがありましたか?

川内さん「私の在学時(2001~2004年)は、そこまでCA輩出率は高くなかったと思います。2005年卒業生がCA輩出率過去最高となったみたいです。シンガポール航空も計4人、外大からでした。

 

関西外大のCA輩出数ランキングは日本No.1

7e9acbbf096ad225862f5faedf2510a6関西外大は航空業界の就職サポートが充実しおり、大学の専門科目とは違った課外の就活講座『エアライン受験対策』が開講されています。専門講師のもと、週に1回、全部で11回行われ、身だしなみやマナーの指導、各航空会社の企業研究、自己分析、模擬面接など充実した内容となっています。

また、学内の教室内には空港のチェックインカウンターやモックアップと呼ばれる航空機の客室、ホテルのカウンターが設置されています。

▶︎もっと詳しく>>「関西外大がCA(キャビンアテンダント)就職に強い7つの理由

 

——今はエアラインセミナーなど大学側のサポートが充実しているようです。

川内さん「私の在学中はそのようなサポートはありませんでした。今は充実している事を聞いてびっくりぽんです(笑)」

 

——CAになるためにどのような準備を?

川内さん「CAになるには、”気がきくことね”と母に言われた事があり、アルバイトには、接客に関して厳しいトレーニングがあると聞いていたマクドナルドで5年働きました。お客様係のマネージャーになり、毎月子供たちのためのイベント企画したりもしていました。」

 

——TOEICなどの英語の資格試験についても準備されてましたか?

川内さん「実は勉強は全くでした。外大にしては恥ずかしいくらいのTOEICの点数でした。当時は鶴のマークに憧れてJALを目指していましたので、JALの基準*を最低限クリアしてたらいいかと考えていました。」

※国内の航空会社でも、国際線を運航している会社は、基本的には、TOEIC600点程度以上と明記されている航空会社が多い。

 

——就職活動では、航空会社は日系・外資含めて何社ほど受けましたか?

川内さん「シンガポール航空の1社だけです。大学3年生の冬に募集が出たので、第一希望のJALの面接の練習だと思い受けました。」

 

 

2. 業界最難関!シンガポール航空CA職の採用選考とは?

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シンガポール航空の選考フロー(全て英語)

■一次選考:「10人程の集団面接」 面接ルームをでて、2,3分後面接官が出てきて、その場で合格者は残されて、不合格者は後日レターで連絡すると言われるの。質問は2つ。自己紹介と住んでる町のお勧めポイントについて。
■二次選考:「個人面接」 面接官2人に受験者1人。20分くらい。英語の機内アナウンスも読まされる。アルバイトの事を掘り下げて聞かれました。
■三次選考:「筆記試験」
■四次選考:「個人面接」 面接官5人対受験者1人。少しだけ日本語で質問あり面接の合格者だけ、制服チェック。
■最終選考:「ティーパーティー」
■採用通知:2週間程度で内々定通知が届く。その後の健康診断に問題なければ、内定。
※面接は全て英語で実施されます。 ※選考内容は当時の情報です。

 

——シンガポール航空の選考に教えて下さい。

川内さん「SQは、航空会社のCA採用なかでも少し特殊かもしれません。書類選考をクリアすると、まず一次面接は10名程度で英語での集団面接です。面接後、その場で合格者の番号を呼ばれます。二次の個人面接では、面接に加えてアナウンス原稿も読みました。

三次の筆記試験を経て、四次選考は面接官5名との個人面接でした。合格者だけ、制服に着替えます。そして、最終選考はティーパーティーでした。面接会場と同じ、リーガロイヤルホテルだったかと思います。」

 

——ティーパーティーなんて如何にも外資らしいですね?

川内さん「最終のティーパーティーは、テーブル4つにSQ関係者と受験者が分かれ、お茶とケーキ食べながら雑談する立食形式でした。私のグループでは特に問題なく、皆合格でしたが、稀に不合格者も出るようです。」

 

——採用段階でCAに求められる資質や、内定者に共通していた要素などはありますか?

川内さん「なんでしょう。内定者には個性的な方が多かったには確か(笑)。勿論、立ち振る舞いは、皆さん完璧でしたね。例えば、姿勢や歩き方など仕草ひとつ既に洗練されていました。

海外で仕事をし生活していく事は、簡単な事ではありません。資質と言うと、その困難を乗り越えられる、忍耐力や動じなさとかも見られていたんじゃないかと思います。実際、一年以上 海外留学していた人や帰国子女は多かったですね。」

 

——内定後は入社に向けて準備することはありましたか?

川内さん「私は、留学経験も2カ月程度しかない上に、帰国子女でもなかったので英会話を重点的にやりました。 面接官にも入社までに、英語を頑張るように言われてました。」

 

シンガポール航空CA職の採用条件(新卒)

・雇用形態:契約社員(5年契約)の募集のみ。
・学歴:短大卒以上
・身長:女性158cm以上・男性165cm以上(機内後部の設備の安全確認のため)
・募集時期:ほぼ毎年11月に募集締め切り(毎年の採用は外資系では稀)
・募集人数:10名程度
・TOEICの点数について明記は無し(面接は全て英語)

 

3. シンガポール現地での15週間の入社研修

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シンガポール航空CA職の研修

入社後すぐに、シンガポール現地にて15週間の入社研修があります。
この他、希望者には、語学研修(英語・中国語など)・フード&ドリンク・アドバイザー研修、エア・ソムリエ研修、シンガポール政府認定トレーナー研修などの研修があります。

 

——卒業してすぐにシンガポールに?

川内さん「まず、シンガポールに飛んでトレーニングが始まるまでホテル滞在を1週間。その間に住む家や、シェアルームのメンバーを決めます。1週間後、トレーニングが始まります。シンガポール航空は、航空会社の中でもトレーニングが一番長く、4カ月あります。卒業式の後、フライトが始まります。」

 

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研修時代

——やはり相当苦労されましたか?

川内さん「もちろん。私の場合は。このトレーニングで英語の壁にぶつかりとても苦労しました。ギリギリ合格で追試も何回か受けてましたね。同期は日本人以外にシンガポール人もいます。この4カ月、助け合い、協力しあい、笑って泣いて、家族のようでした。」

 

——実際にCAとして勤務し出して、理想と現実のギャップとかありました?

川内さん「シンガポール人とのやりとりに苦労しました。トレーニングでの同期とは違い、仕事では上司。なまりの英語が聞き取りにくかった事もありますが、日本人とは気質?がまるで違います。

とにかく、頭の回転が速く、仕事のスピードについていくのに、初めはまるで機内で走っているかのようでしたね。(笑)間違えると、「why did you do that?」とにかく理由を聞かれます。答えが遅いと、ため息をつかれたり。(笑)毎フライト「you are so slow」の連発でしたね。」

 

——やっぱり泣いたりも?

川内さん「悔しくてトイレのティッシュ全部ぬいたことも。あんなにも手が震えるくらいに悔しい思いをしたのはこの先もないかと思います。心の中でNGワードを何度叫んだことか…(笑)。」

 

 

4. トップエアライン”シンガポール航空”のCAとして国際線で活躍した6年間

シンガポール航空 15代 川内さん

川内さん

——CAさんは機内での華やかなイメージばかりが目立ちますが、実際にどのような業務内容ですか?

川内さん「CAの仕事は、保安業務がメインでサービスは二の次。また、日本人CAは、通訳業務も兼ねています。保安とサービスの業務バランスは会社の規定、上司の判断だったり、その場の状況によると思います。

もちろん、上司の指示には逆らえませんが、お国柄の違いで場合によっては、お客様を混乱させることもあります。日本人である自分達の判断で、通訳の仕方を変えたりして、保安とサービスの釣り合いを保っていました。それが一番難しかったです。」

 

——特に外資系のCA業務は機内での裁量が大きいようですね。

川内さん「そうですね。通訳業務があるからかもしれません。世界で一番サービスがいいと言われているSQでも、日本人のお客様へのサービスは特別視しています。世界で通用するサービスが日本ではいいとされていないからです。

日本人から見ても同じで、私たち日本人がいいと思うサービスも世界の人から見ていいと思うかは場合によります。トレーニングでは、答えのないケーススタディでプレゼンを何度もやってましたね。”こんな時、どうする?”みたいなことを、人種や宗教や、国ごとの習慣等を交えて、グループに分かれて発表。何度か繰り返ししていく事で、臨機応変さを身に着けるのだと思います。」

 

CAの仕事は「サービス」と「保安業務」の2本柱

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まず「サービス」に関わる業務です。飛行機の乗客に対し快適な空の旅を楽しんでもらえるよう、食事や飲み物の提供や毛布を貸し出しなど、フライト中にはさまざまなサービスを提供しています。

もうひとつ「保安要員」としての業務。フライトはいかなる時でも安全に行われることが前提ですが、多くの乗客の命を預かる中で、“万が一”のことは常に考えて、緊急事態への対応や、機体に異常が無いかチェックをしたりします。

 

——一週間の国際線のスケジュールはどのような感じでしたか?

川内さん「大体、一週間で2往復半。日本⇄シンガポールを往復するのに3日間。ロス便は、シンガポール_東京_ロスでシンガポールを出発して帰るのに1週間。シンガポール⇄オーストラリアとかもあります。あとは、シンガポールのご近所。シンガポール⇄ニュージーランド路線もありました。」

 

IMG_0521——そうなってくるとる体調管理が必要ですね?

川内さん「そうですね。体力は、若いうちは大丈夫。とにかく精神面が鍛えられます。しかし、年齢を重ねると、体力的に厳しくなります。(笑)シンガポール→日本線は深夜便がほとんど、日本→シンガポールは、日中のフライトなので、睡眠の取り方が重要でした。」

 

——肌も荒れると聞きますし、体調管理も大変そうですね。

川内さん「機内は乾燥していますので、慣れない頃は肌が荒れてしまって。SQは、肌が荒れすぎたり、体重の増加したりすると、地上の仕事をさせられることもあります。

私がCREW WORLDのライターとして記事を書いています、@cosmeでは世界で活躍するCAの方々が、美容、健康について記事を書いています。ご覧いただけると嬉しいです。“身近な●●がキレイの救世主!元CAも実践する “乾燥・メイク崩れを防ぐベースメイクの秘訣4箇条とは”

 

——当時の待遇や生活はいかがでしたか?

川内さん「当時は、シンガポールの物価が低く、日本では考えられないようなジム、プール付のコンドミニアムにも住んでいましたし、十分すぎるくらいの生活はしていました。でも、今は物価が上がってなかなか厳しいと思います。物価が上がっても、お給料は同じですからね。」

 

2015年シンガポール航空の待遇・福利厚生

・初任給:
  基本給1,810シンガポールドル(約159,700円、2015年2月実績)
  搭乗開始後:月給平均3,500シンガポールドル(約308,800円、基本給+諸手当)
・諸手当:シフト勤務手当、深夜勤務手当など
・福利厚生
 1.有給休暇:会社の定める勤務予定表による休日+有給休暇が初年度より21日(3週間)。
 2.無料航空券:自社便の無料航空券が年1枚支給。
 3.割引航空券制度:自社便&他社便の割引航空券制度が利用可能。
 4.医療保険&歯科保険:シンガポールの自社の医療保険・歯科保険制度。

 

——フライト数に応じて、お給料もあがるんですか?

川内さん「何時間飛ぶと、何時間休まなきゃいけない基本ルールさえ守れば、飛べば飛ぶほどお給料に反映されます。日本人クルー間で、フライトを変えたりもできます。」

 

——そんな充実されていたキャリアの中で、退社を決意された理由は?

川内さん「 そうですね〜。実際、色々な事が重なり決意しましたが、いずれ日本に帰りたいと思っていたので、転職の年齢とか、日本社会を知っておくべきかなと思ったのが一番です。またその当時、同期が辞めて少なくなったのも大きな理由ですね。」

 

——川内さんの”セカンドキャリア”については次号で書かせて頂きます。一般的なCAさんのセカンドキャリアはどのような選択肢がありますか?

川内さん「結婚も多いですが、日本に戻り一般企業で働いている方もたくさんいます。他の航空会社へのtransferから、事務、営業、資格を取り講師をされている方も。また、客室乗務員経験者のセカンドキャリアを支援する人材紹介サービスKoLabo Crew Concierge』などもあり、様々な分野で活躍されています。」

 

——CAとしてのやり甲斐はどのような点に感じてましたか?

川内さん「ありきたりですが、やはりお客様のありがとうですね。 あとは、クルーとの満席の多忙なフライトをやり終えた時の達成感。 」

 

IMG_1207-2——シンガポール航空ならではカルチャーは?

川内さん「シンガポールは他民族国家のため、クルーもインド、インドネシア、マレーシア、韓国、台湾、色々な国の人がいて、宗教も生活習慣も、食べる物も違います。

お互いの生活習慣、宗教を理解しあいながら共に働き、アジアだけでなく、アメリカやヨーロッパの人々と普段の生活の中で共存している事で、それぞれの国や人の考えを理解できる事がサービスにも繋がり、独特のSQカルチャーとなっていると思います。」

 

——シンガポール航空のCAとして勤務された6年間で学んだ事、身につけたスキル経験などはどのようなものでしょうか?

川内さん「どんな人にも対応できること、それも臨機応変に。フライト毎に上司が変わりますので、サービスの仕方や、仕事の流れが異なります。その上、お客様ももちろん違います。

シンガポール人と日本人のお客様との間に立つだけでも、何百通りのやり方でやりとりが繰り広げられます。毎フライトメンバーが違うと、自然とブリーフィング(飛行計画等の打ち合わせ)の挨拶だけで、その人のやり方とかパターンが分かってきます。」

 

——シンガポール航空のOGとして、これから入社を考える後輩におすすめしたいですか?

川内さん「勿論です。こんな小さな国で、世界の中でも経済の中心と化したシンガポール。世界各国の人々と出会い、世界が広いことを感じることができます。また、日本人乗務員として日本人としてのよさを感じることができる仕事です。

シンガポール付近は、海の綺麗な国々も沢山あり、気軽に旅行もでき、食事も、おいしく安いものが多く、とても綺麗で生活しやすい国です。仕事は大変でしたが、違う世界を味わえた事は、私の一生の宝物となりました。」

 

——最後に、これからCAを目指す大学生にメッセージをお願いします。

川内さん「エアラインは世界中に沢山あります。色々調べて、実際働いてきた方々の話を聞いて、モチベーションあげて、頑張って下さい!なにより、学生生活を思う存分、楽しんでください!SQの詳しいCA採用情報は”日本一詳しい「シンガポール航空CA」採用の全て【2016-17】をチェックしてください。」

 

 

☆川内 麻由美 さん プロフィール

15代 川内麻由美さん シンガポール航空にてシンガポールをベースに室乗務員として、6年間勤務後、帰国。OL傍ら、昔からアクセサリーを手作りで作っていた母親とアクセサリーブランド、La vie en Rose(http://www.la-vien-rose.com)を2013年の秋に立ち上げ、ネット販売を開始。 関西では、梅田阪急百貨店、ブリーゼブリーゼ、関東では有楽町マルイ、新宿マルイ、横浜高島屋、名古屋高島屋などに期間限定で出展。また、「自分らしく生きる」をモットーに女性がより輝ける活動をしている、Beauty Life関西美活サークルメンバーに参加し活動を広げる。

 

川内さんのブログ「maami’s beautiful life~私らしく輝く日々のDiary~

川内さん寄稿「 “身近な●●がキレイの救世主!元CAも実践する “乾燥・メイク崩れを防ぐベースメイクの秘訣4箇条”」

川内さんのアクセサリーショップ「La vie en Rose

La vie en Rose 〜handmade accessories online shop〜

 

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